輪島塗の「色」は、朱と黒だけじゃない!

「全日本人味噌汁椀輪島塗化計画」ブログでは、輪島塗の食器をもっと普段の食卓で使ってほしいと願い、とくに味噌汁椀こそが輪島塗の魅力が一番伝わると考えている田谷漆器店10代目・田谷昂大が、輪島塗の良さや使い方、味噌汁椀をはじめとするお勧めのアイテムなどをご紹介していきます。

 
輪島塗の漆器の色といえば、「黒」や「朱」のイメージですが、今ではさまざまな色漆(いろうるし)用の顔料(色の原料となる粉)が開発され、バリエーション豊かな色彩の表現が可能となりました。

そこで今回は、輪島塗の知られざる色や表現方法についてお伝えしたいと思います。

 

目次

1.樹木から採取した漆(うるし)が色漆になるまで

2.伝統色からパール漆まで。色のバリエーションは広がっている

3.配色やグラデーション。上塗り職人の腕の見せどころ

 

1.樹木から採取した漆(うるし)が色漆になるまで

前述のように、輪島塗の多くは朱や黒の漆で彩られた漆器が主流ですが、そもそも漆自体に色はなく、顔料などを混ぜることでさまざまな色を表現しています。

漆は、ウルシの木の幹にキズをつけて採取した樹液で、半透明な乳白色をしています。採取した漆を濾過しておおまかな不純物を取り除いたものを「生漆(きうるし)」と呼びます。

この生漆を精製する段階で水酸化鉄を混ぜて化学反応をさせると「黒漆(くろうるし)」になります。

黒以外の色漆は、生漆を精製させた「透漆(すきうるし)」に顔料を混ぜることで、多彩な色を作ることが出来ます。

ちなみに、市場に出回る漆器のなかには合成漆を使用したものもありますが、輪島塗においては、すべての素材に自然素材を用いることで、ブランド価値を維持してきました。いまでは貴重品となった国産漆の魅力といえば、しっとりとした深い艶や、経年変化による独特の風合い。また、防腐・防水作用によって木製の器を強化する効果もあります。

■Point
黒以外の漆器の色は、漆と顔料を混ぜた「色漆」によるもの

 

2.伝統色からパール漆まで。色のバリエーションは広がっている

続いては輪島塗の漆器で使われている「色の種類」について。

今ではさまざまな色漆用の顔料が開発されていますが、漆器の長い歴史においては「黒系」、「赤系」、「黄系」、「緑系」、そして黒みを帯びた朱色の「うるみ系」の5色系が漆のおもな色彩として用いられてきました。

なかでも、赤系の「朱」にはさまざまな色合いがあり、次のようなものがあります。

本朱 (ほんしゅ)
やや黒っぽい重厚感がある赤色。「古代朱」とも呼ばれ、格式の高いイメージです。

・洗朱(あらいしゅ)
本朱から作られ、いわゆる「朱」と呼ばれる色。同じ朱でも幅広く、赤みの強い「赤口(あかくち)」、赤みがかったオレンジ色をした「淡口(あわくち)」、黄味の強いオレンジ色をした「黄口(きくち)」などがあります。

・溜塗(ためぬり)
色漆ではなく、漆の塗り方によって現れる色。朱漆の中塗り(なかぬり)をしたあと、半透明の透漆を上塗りしたもの。重ねて塗ることで朱色が透けて見え、えんじ色のように見えます。

左から本朱、洗朱、溜塗

これら以外にもさまざまな色漆が作られていて、黒以外はベースとなる透漆に顔料を混ぜて作るのですが、透漆はもともと飴色がかった半透明のため、どれだけ顔料を加えても淡い色合いを出すことはできません。

ちなみに色漆による表現が難しいのが「白」で、前述の透漆と混ざることでベージュ色をしています。色漆は漆の硬化作用によって塗った後もゆっくりと変化していきますが、とくに白の漆は顕著で、歳月ともにミルクティーのように柔らかな色へと変化します。

また、珍しいところでは、石川県工業試験場が開発した「パール漆」というパール調の色彩を放つ漆があり、鮮やかなブルーの色漆を作れるようになりました。
ちなみにパールとありますが、真珠は含まれておらず、光を乱反射する雲母材が用いられています。
私たち田谷漆器店でもこのパール漆による商品を取り扱っています。

■Point
漆の色彩は伝統の5色系から、顔料の開発によってさまざまな色が可能に

 

3.配色やグラデーション。上塗り職人の腕の見せどころ

輪島塗をはじめとする漆器は「ぬりものといわれるだけに、「塗り」は漆器制作における要(かなめ)となります。

漆を塗ることを「きゅう漆(しつ)」といい、漆を惜しみなく使うことが、輪島塗の特色のひとつ。下地(したじ)、中塗り(なかぬり)、上塗り(うわぬり)の順に行うきゅう漆の工程は20工程以上に及び、通常は半年から1年ほどかかります。

そのなかで輪島塗の色にかかわるのは、おもに上塗りの工程です。

色の調合や塗り方によって、どう仕上げていくかは、「塗師(ぬりし)」と呼ばれる専門の職人による腕の見せどころ。

たとえば、器の外側と中側で色を変えてみたり、2色以上の上塗漆(うわぬりうるし)をグラデーションにして微妙な色の変化を表現したり。

ちなみに、記事の冒頭で「色漆用の顔料の開発によって輪島塗でもバリエーション豊かな色彩の表現が可能になった」と書きましたが、思い通りの色をすべて作れるわけではありません。

漆の色は、単に顔料を混ぜれば良いわけではなく、混合する顔料の成分や量によって乾きにくくなったり耐久性が劣ったりするほか、天候や季節によっても変わるため、まったく同じ色を再現することは難しい。まさに一期一会の器となります。

代表的な塗り方として、上塗りをしてそのまま仕上げる「塗立(ぬりたて)」や、さらに研磨や生漆を刷り込む工程を繰り返して鏡のような光沢を出す「呂色(ろいろ)仕上げ」、また先ほど赤系の色として説明した溜塗も、塗り方による色の表現法の一つです。

ほかにも、沈金(ちんきん)や蒔絵(まきえ)といった輪島塗らしい加飾(かしょく)と色漆を組み合わせ、絵画のような花鳥風月のデザインを施すことも。

こうした多彩な技法を駆使することで、輪島塗の新たな魅力を表現することができます。

■Point
配色や塗り方、加飾などを組み合わせた多彩な表現

 

このように、多彩な色彩のバリエーションを楽しむことができる輪島塗。

私たち田谷漆器店でもグラデーションを施したワイングラスやカラフルなカップなど、現代のライフスタイルに馴染む色やデザインの輪島塗を制作しています。

このような新作を展示会などでお披露目していて、来場されたお客さまに「自分の好きな色でオーダーメイドは可能ですか?」と聞かれたことがあります。

色の調整などに時間がかかるため、納期までに長めのお時間をいただくことになりますが、ほぼ、どのような色でも可能です。

ご興味ある方は、こちらのウェブサイトのお問い合わせフォームから気軽におたずねください。


漆は時間が経つと透明度が増して明るく冴えてきますし、さらに使っていくうちに艶が出て、自分だけの色合いへと変化していく楽しみもあります。

お気に入りの色の輪島塗を手に入れて、自分だけの色に育ててみませんか?

【田谷漆器店 10代目・田谷昂大】

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