輪島塗が躍進した歴史とは? 日本を代表する漆器ブランドになった3つのポイント

「全日本人味噌汁椀輪島塗化計画」ブログでは、輪島塗の食器をもっと普段の食卓で使ってほしいと願い、とくに味噌汁椀こそが輪島塗の魅力が一番伝わると考えている田谷漆器店10代目・田谷昂大が、輪島塗の良さや使い方、お勧めのアイテムなどをご紹介していきます。

漆器(しっき)といえば、「輪島塗」。
そうイメージされる方も多いのではないでしょうか?

日本の漆器の代表格とされる輪島塗ですが、
その技法が確立されたのは江戸時代。
京都などの名高い漆器産地と比べると後発でした。

それにも関わらず、
輪島塗は全国初の国の
重要無形文化財の指定を受け、
生産高日本一を誇るまでに成長しました。

それはなぜなのか?

そこで今回は、
輪島塗が世界に誇る漆器ブランドとして
躍進した歴史をひも解いてみようと思います。

目次

1.歴史をさかのぼると、輪島塗ではなく「そうめん」だった!?輪島の特産品


2.歴史にみる、輪島塗ブランドを形成した3つの「差別化」ポイントとは?
  ●ポイント1「地の粉(じのこ)」の発見
  ●ポイント2独自の「分業制」と「塗師屋(ぬしや)」の存在
  ●ポイント3地理的な優位性

3. 輪島塗の歴史は今も昔も変わらず、つながりを大切にしてきた

   

1.歴史をさかのぼると、輪島塗ではなく「そうめん」だった!? 輪島の特産品

日本海に面した能登半島の北西に位置する、石川県輪島市。

この地が輪島塗の産地として有名になる前の戦国期、輪島の名を世に知らしめていたのは「そうめん」でした。

輪島がそうめんのルーツという説もあり、天文年間(1532~1555年)後半以降は「輪島素麵」との名称で幕府・朝廷や大坂本願寺へ贈られています。

全盛期の1800年代初めには「そうめん家」が軒を連ね、「加賀百万石」で知られる藩主・前田家の食用や進物用に用いられたほか、一般家庭でも輪島の名産として進物用に使用されたそうです。

ところが生産量の増大に従い、越後や越前といった他藩から原料の小麦や油を買い付けるようになり、通貨や食料の流出を危惧した加賀藩は「そうめん作りは禁止!」と通達。

その結果、そうめん作りをしていた職人たちは漆器づくりへとシフトしていったようです。
※諸説あり

■Point
高級そうめんから高級漆器へくら替えして、結果オーライ?

   

2.歴史にみる、輪島塗ブランドを形成した3つの「差別化」ポイントとは?

ちなみに輪島では加賀藩が活躍した江戸時代より前から漆器が制作され、現存する最古の輪島塗は、輪島市の重蔵(じゅうぞう)神社に保存されている室町時代の「朱塗扉」といわれています。

当時の輪島塗は能登で暮らす人々のために作られていましたが、全国へ販売するようになったのは江戸時代後期。
そうめんから漆器の産地へと本格的にシフトしたことで、輪島塗は一気に全国から脚光を浴びる存在へと姿を変えていきました。

しかし江戸期といえば、すでに京都などが漆器の産地として知られていた時代。そうした中、輪島塗はどうやって差別化を図ったのでしょう?

そこには

 1. 「地の粉(じのこ)」の発見
 2独自の「分業制」と「塗師屋(ぬしや)」
 3地理的な優位性

という3つのポイントがありました。

●ポイント1.「地の粉(じのこ)」の発見

購買力をつけた民衆のあいだで日用向け漆器の需要が高まっていた寛文年間(1661年~1673年)、輪島で「地の粉(じのこ)」と呼ばれる珪藻土(けいそうど)が発見されました。

この地の粉を漆に混ぜて下地に用いたところ、輪島塗の強度は大幅にアップしたのです。
地の粉は現在も、輪島漆器協同組合に登録のメーカーのみが使うことを許されています。

さらに木地の弱い箇所を布で補強する“布着せ”を行う「本堅地(ほんかたじ)技法」の確立により、輪島塗は丈夫で剥げにくい「堅牢さ」を獲得しました。

ほかの産地の水準をはるかに超えた丈夫な下地塗りと見事な上塗り、さらには修理・塗替えができる。

独自の製作法で差別化をはかった結果、輪島塗は一流品として評価され、生産高を増やしていったのです。

●ポイント2.独自の「分業制」と「塗師屋(ぬしや)」の存在

こうして、ほかの漆器より抜きん出た輪島塗を求める声は高まり、注文をさばくために独特の「分業制」をスタート。

完成まで124もある製造工程をそれぞれ専門の職人が担当するシステムにした結果、工程ごとの精度が上がり、緻密な美しさがさらなる評判に。

こうして輪島塗の名声は全国へと広がります。


ちなみに職人ごとに細分化された工程を取りまとめたのが、「塗師屋」という輪島塗独自の存在。
私たち田谷漆器店もその一軒です。

輪島塗を特産品にする動きが始まった江戸時代。
塗師屋は輪島塗の企画・販売に専門性を示し、製作に特化しないぶんフットワーク軽く全国を飛び回ることができました。

椀や膳の見本をかついでは各地を訪れて注文を取る行商スタイルで、輪島塗を広めたのです。

●ポイント3.地理的な優位性

地の粉を使った堅牢さ、分業制や塗師屋による独自の製造・販売スタイルに加え、「地理的な優位性」も輪島塗の発展を後押ししました。

そもそも輪島の地理的条件は、漆器の制作にとって最適。

日本海沿岸から入り込む海風を山々が受け止め、漆器づくりに欠かせない湿潤な気候をキープ。
漆器の材料であるアテ(ヒノキアスナロ)、ケヤキなどの木々も群生していました。

そしてもう一つ欠かせないのが、「北前船(きたまえぶね)」の存在です。

江戸時代に大阪と北海道を結ぶ北前船の運航が始まると、輪島塗は新たな輸送手段を得て販路を拡大します。

能登半島は日本列島の中央に位置することから、塗師屋は西へ東へと行き来しては輪島塗の注文を受け、1年以上かけて製作し、完成品を北前船で届けるというサイクルが出来上がりました。

■Point
輪島塗は、オンリーワンの価値の結晶体

   

3.輪島塗の歴史は今も昔も変わらず、つながりを大切にしてきた

こうした江戸時代から続く輪島塗の行商スタイルは現在も継続し、対面販売を得意とする塗師屋の販売先は、世界中へと拡大しています。

かつては北前船に乗って諸国(他の藩)へ旅立ちました。

そして21世紀の塗師屋である私はというと、新型コロナまん延前までは、飛行機に乗り込み、日本各地や海外へ出向いて「行商」していました。

またインターネットの時代になった今も、お客様の語らいを大切にしながらご要望を形にできるよう努める塗師屋のスピリットは変わりません。

これからも、作り手と使い手の心のつながりを大切にしながら、輪島塗の魅力をお伝えしたいと思っています。

【田谷漆器店 10代目・田谷昂大】

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