漆器のトップブランド、輪島塗。地位を築いた秘密とその特徴を公開。

「全日本人味噌汁椀輪島塗化計画」ブログでは、輪島塗の食器をもっと普段の食卓で使ってほしいと願い、とくに味噌汁椀こそが輪島塗の魅力が一番伝わると考えている田谷漆器店・田谷昂大が、輪島塗の良さや使い方、お勧めのアイテムなどをご紹介していきます。

漆(うるし)の器と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

和食器のなかでも、木地に漆を塗り重ねて作られる漆器(しっき)の代表格とされる輪島塗ですが、技法が確立されたのは江戸時代。

都から遠く離れた能登半島で、しかもほかの漆器産地より遅く世に現れた輪島塗が、どうして全国初となる国の重要無形文化財の指定を受け、生産高日本一を誇るトップブランドに至ったか?

今回は輪島塗の歴史をひも解きながら、その秘密と特徴についてお伝えしていきます。

1. 「塗師屋(ぬしや)」という独自の存在が牽引した輪島塗の歴史

輪島塗の起源は定かではなく、現存する最古のものは、石川県輪島市・重蔵神社に保存されている室町時代の「朱塗扉」といわれます。

この頃の輪島塗は能登で暮らす人々のために作られていましたが、江戸時代前期に入ると慶弔事のお膳用として使われていた上質なお椀を量産し、京都や大阪へと進出。その後、大阪と北海道を結ぶ北前船の運航が始まり、販路を拡大していきました。

さらに輪島塗のクオリティの高さを広く知らしめたのが、塗師屋(ぬしや)による「行商」という販売方法です。

「塗師屋」とは職人たちを取りまとめ、製作を指揮する総監督のような存在。この記事を発信している田谷漆器店もまた、その役目を果たしています。

■Point
塗師屋は輪島塗の製造から販売までを手がける総合プロデューサーです。

江戸時代にブランドが確立していた輪島塗は全国に顧客を持ち、塗師屋は漆器を携えて行商に出向いていました。
インターネットなどない当時、情報の入手方法といえば、手紙か口伝(くちづて)によるもの。そんな中、全国を行商する塗師屋は都の流行や洗練された文化に詳しく、行商先の人々は彼らを “文化の伝播者”として、訪問を心待ちにしていました。

塗師屋は都で得た新しい情報を提供する一方、顧客から得た意見を品質向上にフィードバックすることで、輪島塗のクオリティを高めていくことに。

その後、明治維新によって京都、江戸、尾張などの一大産地が没落するなか、輪島では行き場を失った職人たちを呼び込み、勢力を拡大。
第二次世界大戦後は、大半の産地が化学合成塗料(近代漆器)へと転換するなか、輪島塗は厳しい基準を設けることで高度な技術と品質を維持。さらに新たな漆のプロダクトを開拓し、ほかの産地と一線を画す存在になっていったのです。

■Point
「プラスαのサービス」で顧客のハートをつかんだ、輪島塗の行商たち。

2. 輪島塗の最大の特徴は、技をきわめた「分業制」

こうして独自の発展を遂げてきた輪島塗。
ほかの漆器と比べて、何が違うのでしょう?

その最大の特徴が、高度に専門化した職人の「分業制」にあります。

木地師(きじし)は木地を作り、塗師(ぬりし)は漆を塗る。

専門の職人たちが担う製造工程は124にも及び、全国でも類を見ない細分化されたシステムは、職人たちが技を究める過程で生み出されたと考えられています。

各工程の職人たちは、前後を担当する仲間に迷惑をかけないよう細心の注意を払い、結果としてさらなる品質向上へと繋がりました。

市場に出回る漆器のなかには、表面のみに天然の漆を塗装し、ほかは合成樹脂などを用いた製品や、合成漆を使ったものがあり、見ただけでは判断しづらいのが現状です。

こうした中、輪島漆器商工業協同組合では、製造工程ガイドラインを制定。天然木と天然漆、地の粉(じのこ/珪藻土)を使って伝統的な工程を遵守して作られた製品だけを「輪島塗」として認定し、安心・安全な製品をお届けしています。

■Point
輪島塗は厳しい基準をクリアした、高度な技の結晶。

3. 漆から浮かび上がる金銀アート、輪島塗の「沈金(ちんきん)」

こうした分業制により、堅牢優美(けんろうゆうび)なクオリティを維持してきた輪島塗。
なかでも加飾技法の一つ「沈金(ちんきん)」は、輪島塗ならではの技法です。

ノミ(刀)で器の塗面に文様や絵柄を彫り、できた溝に漆をすり込んで、金・銀の箔や粉などを埋めて(沈めて)模様を描く。
下地・中塗り・上塗りと、たっぷり漆を塗り重ねた強固な下地があるからこそ豊かな表現が可能となり、輪島塗に最適な技法といえます。

沈金師の作業を見ていると、鉄のノミで規則正しく繊細に、かつスピーディーに模様を彫っていくさまは、実に心地良いものです。細かい文様を一彫りずつ刻んで金箔をたたき込むと、彫った文様が美しく浮かび上がります。
その緻密な手仕事による輪島塗を、ぜひ実際にご覧いただけると嬉しいです。

4. 「おうち時間」に充実したひとときをもたらす輪島塗の特徴

では、沈金などで加飾した輪島塗の器は、どのようなシーンで使えば良いか?
そこでご提案したいのが、「良質なおうち時間の充実」です。

たとえば、大切な人との記念日や、嬉しいことがあった日に。

ちょっといいお酒を酌み交わしたいとき使ってみていただきたいのが、「沈金」で細やかな菊の文様を施した酒器セットの「菊と月」です。

夜空を思わせる漆黒のお盆に「三日月」と日本人に馴染み深い「菊」を。片口とぐい飲みには「満月」をイメージした沈金を彫り込み、しっとりと風情漂う景色を描きました。

これから雪の舞い落ちる季節。
熱燗を入れた器から温もりを感じるのもよし。
暖かい室内でキンと冷えた冷酒を味わうのもまた、贅沢。

輪島塗は使うたびに色ツヤが増していきますから、そこにしあわせな思い出が重なり、愛着の増す器へと育っていくことでしょう。

酒器揃え「月と菊」

330,000円(税込)

【田谷漆器店 10代目・田谷昂大】

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現在、予約注文を承っております。1年以内のお届けを目指して再建を進めていますが、様々な状況により遅れる場合はご連絡させていただきます。

暮らしの定番「日常使いの輪島塗」ご奉仕価格商品

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輪島塗と同じ技法で漆塗りを施しますが、上塗りの工程を行わないカジュアルな漆器を新しく開発しました。拭き漆とは、生漆(きうるし)を塗った後布で拭き上げる技法で、耐水性・防腐性に優れた漆の効果を備えています。

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